魅力ある取組の
更なる発展を目指して
広島県内の中山間地域にあるものを活かして
新しい価値の創造につなげる
新型コロナウイルスによって、遠出の旅行や団体での観光が難しい状況のなか、近場での旅行や観光(マイクロツーリズム)のニーズが高まっています。
大朝は昔、広島-浜田間の交通の要所として栄えてきましたが、度重なるバス路線廃止により、大朝駅(バスの駅)の廃止も議論されるようになりました。
大朝駅に以前のような活気とランドマークとしての役割を持たせるため、Oasa Mobility Station(以下OMS)と名乗り、近年のサイクリングブームを取り入れ、サイクリストが集うスポット(ひろしまサイクルおもてなしスポット)として、大朝駅の整備とe-BIKEツアーでの新たな観光プロダクトの開発を手掛けました。
北広島町は軌道のない町です。交通機関の主要は自動車で、住民の1人1台が常識の地域です。
そんな町に公共交通機関で訪れた人には、移動手段がとても不便に感じます。
町内には2つの高速道のインターチェンジがあり、そこまでは利便性もいいのですが、町内での2次交通3次交通はわかりづらく、特に土地勘のない観光客のお客様には利用は皆無のようです。
どうにか、町内の移動手段が分かりやすく誰にでも使っていただけるようにならなければと思っていました。
そんな時、バスの駅「大朝駅」の無人化が検討され始めた、交通拠点として地域の発展に寄与してきた施設の縮小は、交通事業を行う者として見過ごすことはできませんでした。
「大朝駅」をこれからも地域の交通拠点として持続させるために、大朝駅を人や物の移動拠点として盛り上げるためOMS(大朝モビリティーステーション)として、地域のコミュニティースペースと発信基地とした役割を目指していこうと決意しました。
北広島町は合併から16年で3600人減少(約17%)、高齢化率は38%となりました。
特に北広島町大朝では主要観光地であった、スキー場と温泉施設の閉鎖が相次ぎ、入込観光客が激減している状況です。
このまま進んでいくと、長年営んできた地元商店や事業所にも影響は広がっていることを心配しています。
最近、大朝地域では移住してくる人も多く、大朝の魅力を感じてくれる人も少なくありません。
しかし、全体的には「大朝」を知る人は少なく、広島市内の人ですら「来たことがない」と答える人が大半です。
地域にはたくさんの資源や人材もいるのに、それを伝えることができていないことが残念でした。
事業の傍らで取り組んだNPO活動では「地域コミュニティー」・「環境教育」・「商店街再生」など様々な課題に取り組みました。
町外からもたくさんの人が訪ねてくれるようになり、長期での滞在者も増えてきました。
その際に一番気になったのが、移動手段の利便性の悪さです。車を持たない人にとって、自由に移動できないのは地域に出ていくこともできない。
そこで3年前にクラウドファンディングを活用してE-BIKEを15台導入、移動をより安全に快適に、そしてE-BIKE「楽しさ」も感じられると思いました。
大朝を訪ねる多くの人に資源や人材を知っていただく機会をE-BIKEを活用することで可能になると考えました。
そして、その姿を見た地域住民にも改めて地域の良さに気づいてもらいたいと思いました。
大朝駅がOMS(大朝モビリティーステーション)になって、新たな利用者が生まれました。利用者が増えることでニーズも生まれます。地域資源・飲食店・お土産物など、今の大朝に不足しているものが見えてきます。田舎に人が増えない理由でよく言われるのが「若者が働く場所がない」というフレーズです。これを聞くたびに残念でした、事業を進めるものとして、とても無力さを感じてきましたが、「若者が働ける場所を創る」ことが、ようやく見え始めてきました。
E-BIKEツアーは主に外からの観光客をターゲットとしていますが、観光客の増加は関係人口の増加と捉え、観光に関係する者や事業者だけでなく、地域や企業にも影響があることを、地元住民にも気づいてもらえると考えます。
田舎は自家用車中心の生活スタイルですが、E-BIKEは田舎の生活にも馴染む乗り物であると証明したい。近い将来大朝では、老若男女が自転車をお洒落に乗っている地域、それがとても良い宣伝にもなるでしょう。
状況は今も新型コロナウイルスの影響により停滞しています。緊急事態宣言解除後は、ウィズコロナの社会となり、対策を行いながら平常が戻ってくるでしょう。その時、必ず新しい需要が生まれると思います。今後、多くの人の関心は地方に向けられると期待しています。観光だけでなく、生活基盤にも広がり、ワ―ケーションや情操教育にも大きな可能性が生まれると思います。
私は、若者へのライフスタイルを提案できる地域や企業を目指し、地域資源と新しい生活様式を融合させた仕組み作りを進めていきます。Mobilityを「人が移動する仕組み」と捉え、大朝に拠点に、新しい企画や事業を提案していきたいと考えています。
大朝交通は「安心を地域に運ぶ会社である」をモットーに、これからも新たな課題にチャレンジしていきます。
団体名 | 有限会社 大朝交通 |
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代表者 | 堀田 高広 |
ホームページ | https://www.oasabus.com/oms/index.html |