毎秋、音響の素晴らしさで全国的に名高いベル・カントホール(生口島)を主会場に、約1週間の日程で音楽祭を開催。
国内第一線で活躍しつつ、広島県にゆかりのあるゲスト・ミュージシャン、フランスで活躍する若手音楽家、瀬戸田小学校児童、全国公募によって選ばれた小学生〜高校生の「音楽家の卵」や美術専攻学生・卒業生、尾道ゆかりの演劇家・書道家・舞踊家らのコラボレーションで作る親子コンサートや映画音楽コンサートなど、ジャンルを超えた、オリジナル性の高い企画を行っている。
またホール前では、地元店舗によるマルシェやワークショップを開催。更に地域の演奏家や子どもアーティストなどによる野外演奏やパフォーマンス等を実施し、生口島の魅力発信・地域住民とアーティストの交流を図り、次世代を担う子供たちが、豊かな文化芸術を身近に享受できるような工夫を凝らしている。
広響コンサートマスターだった父の生き方に影響を受け、私は10代の頃から、自らの演奏活動だけでなく、広島の音楽文化振興や、音楽を通じた青少年育成に自然と関わってきた。
22歳の時からパリを拠点とし、ヨーロッパの優秀な若手音楽家の知己を得る中で、各地の音楽祭に多数招聘されるようになり、若手アーティストの活躍促進、地元住民の交流、地域おこし、国際文化交流、難民支援、など多面的な機能をもった、田舎の中小規模の音楽祭の魅力を知った。
2020年、コロナ禍により一時帰国し、尾道市に長期滞在する中、観光・文化の両面において大きな可能性を秘めた生口島であれば、そうした試みが輸入可能であると実感した。私が日仏両国の橋渡し役となり、国際的かつ、しまなみ地区のアーティストや子供たちの文化活動促進、生口島のベル・カントホールの魅力PRにもつながる音楽祭を実施することで、国内外における生口島の文化的発信力を高めたいと願うようになった。
生口島、旧瀬戸田町は世界的な画家、平山郁夫氏の故郷であり、美術館や耕三寺、未来心の丘、島ごと美術館といった芸術施設が多く、音響に優れたベル・カントホールを所有するなど、芸術的資源豊かな地域である。
しかしながら、平成の大合併や人口減少、過疎化、柑橘農家の後継者不足などの問題が浮き彫りになる中で、芸術文化の取り組みが疎かになっている現実は否めない。
ベル・カントホールの稼働率は低く、年間数回の音楽イベントしか開催されていない上、その価値が尾道市民の理解を得ているとは言い難い。ホールには世界的名器「ベーゼンドルファー」ピアノを有するが使用される機会が極めて低い。
更に老朽化が進行しており、交通の便も悪いことから、文化イベントは尾道市街地に集中してしまっている。
その為子どもたちが身近に音楽等に触れる機会が乏しい。
中学生以降になると、優秀な子どもたちは島外へ進学するケースも少なくなく、交通費も嵩んでいると聞く。
瀬戸田高校では子供達一人一人に寄り添う良質な指導を行っているが、若者が島を離れる傾向が続いている。
2021年以降、瀬戸田港周辺に大資本による宿泊施設が続々と開設され、観光地としてのブランド化が進んでおり、しおまち商店街の次世代店主たちも地域活性化に積極的であるものの、エンターティメントを提供する部分が不足していると感じている。
生口島に限らず、音楽、特にクラシック音楽はとかく「敷居が高い」と思われがちであり、入場料も高額であり一部の愛好家のみが享受しているのが現実となっている。
それらを踏まえ、私共はなにより将来の生口島を担う子どもたちの立場となり、過疎化などにより故郷に夢を持ちにくくなっている地域の子どもたち、コロナの影響もあって内向き・バーチャル的な思考になりがちな子ども世代に向けて、世界に通用する文化を生で触れさせる、体験させることが肝要であると信じている。
具体的には入場料低価格化の実現(高校生以下は無料、未就学児も鑑賞可能)、ゲスト音楽家による学校アウトリーチ・特別授業の実施や、瀬戸田小学校児童を朗読者に起用しての親子向けコンサート、終演後の楽器・指揮者体験会、舞踊家や美術家など他ジャンルを巻き込んだ企画実施、野外イベント(マルシェ及びワークショップや野外演奏など)などで、生口島住民にとって芸術文化を身近なものにすること、ベル・カントホールが人々の集いの場所として本来の機能を取り戻すことを目指している。
更にこの地域の魅力を島内外にも広くアピールし、観光活性、移住促進や定住にも繋がることを意図している。
地域の子どもたちは国内外の一流アーティストとの交流や、自ら舞台に上がって表現活動に携わる経験が定期的に享受できる状況に置かれ、豊かな想像力や自己表現力、国際的視野を養うことができる。
地元に、国内外に誇れる音楽祭とコンサートホールがあることは郷土愛を深め、地元への帰郷と活躍のきっかけとなり、定住やUターン促進にも繋がる。
また、瀬戸田の観光や特産物販売に芸術を取り入れることはブランド力向上と経済効果向上の道となるし、観客は島の魅力を文化的な側面からも体感でき、生口島の観光的付加価値が増大する。
生口島が「芸術の島」としても国内外に認知されるようになることで、音楽家の移住や定期的な来訪が期待され(目標:5年間で移住者3名)、そのことが音楽教育の発展にも寄与し、5年間で弦楽器に親しむ子どもが20名、専門的な道を歩む子どもが3名増えると見込まれる。
これは、尾道市でのしまなみジュニアオーケストラなどの活動(2011年〜)を通じて、音楽を専門的に志す子ども3人、愛好家として育っている子どもが50人以上という実績が証明している。
その他 広島県内にて、音楽を通じた青少年育成、音楽文化による地域活性化を趣旨とした様々なイベントを企画・運営。尾道市においては2011年より継続して普及活動を行っており、コロナ禍においても休止することなく、活動内容を発展させている。
せとだレモン祭り、尾道映画祭、せとだレモンマラソン、尾道灯りまつり、親子のためのゆかいなコンサート(2010年より2015年)など市の主催事業より音楽部門を委託されることも多い。
「しまなみ音楽祭」は2013年より3年間、尾道市協働のまちづくり事業として認定され補助金を受領している。
コンサートとしても、過去に2度尾道市主催事業として企画実施した。
2023年「元気さとやま応援プロジェクト補助金」の採択を受ける。
《晴れ!フレ!岡山》の応援の元、RRADYFORクラウドファンディング実施中
その他実績多数、各種メディアに多数回出演または掲載される。
その他実績多数。
芸術的な遺産が豊富な生口島は、島しょ部の文化的活性化を目指す第一歩として絶好の位置にあると言える。
これまでの30年以上の音楽普及活動・教育活動による知識・経験を活かし、地域住民と協力し、真に文化的価値のある島へと育てていくことを目指している。
今後は地域、行政、企業との連携を深め、資金や人材の確保を図ることで、理解を広げ、国内外に誇れる音楽祭に育てていきたい。
このイベントを通じて、島々を毎年訪れるような関係人口が増え、そこに根付く「豊かな学び、豊かな暮らし」を体感できれば、移住促進に繋がるパワーが創出され、豊かな人材の育成に貢献する。
これらの実績を重ね、島しょ部での文化活動をブランディングすることで、地方でも中央や海外と遜色のない文化的活動が定着することを、理想的な地域活性化の一例として全国に示すことができると考えている。
団体名 | 一般社団法人コジマ・ムジカ・コレギア |
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代表者 | 小島燎 |
ホームページ | https://ongaku-kyukamura.com |