生口島内にある畜産農家跡地(5ha)の土地を購入し、人と自然の共生共存の実証実験の場としてスタートさせました。元々あった、社員宿泊用の施設をリノベーションした場所や園内を使い、地域の自然と繋がることをコンセプトに様々な体験を提供しています。このスペースは、営業許可も取得し、レストランとしても利用可能な場所です。
<pここでは、主に”猪”や”食”を切り口に、実践的な森づくりを学べるような様々なワークショップや講座を実施しています。例えば、猪の解体からハンバーグやソーセージなどをつくる食育プログラム、森林整備専門の先生をお招きして山の整備活動、生態調査の専門家を呼び獣害対策講座など行なっています。それ以外にも、子ども達が楽しみながら自然と触れ合えるプログラムの提供として、火おこし体験・竹を利用して水鉄砲作り・そうめん流し・野花で生花やリースづくりなども実施しています。
イべントは全て、ガイド付きの山歩きから始めることにこだわっています。麓の集会所に集合し、30分ほど山を一緒に歩く中で、ごちそうの森の理念や自然の成り立ちなど、お話ししながら山を歩いています。
また、毎年地元の中学校に出向き、地域の自然の話をしたり、見学に来ていただいたりするなどして、環境教育に関する啓蒙活動も行なっています。
自然が好きで、環境問題にも関心が元々ありました。そんな中、猟師の方との出逢いがキッカケで、一緒に森に入ることになりました。自然の中を歩いていると、イノシシだけじゃなく、きのこや山菜などの食材のことや、森の中の危険なことも教えてもらうことができました。イノシシの美味しさにも出逢いました。詳しく森のことを学びたくなり、猟師に弟子入りしました。
猟師の活動をはじめると、獣害についても考えさせられるようになりました。農家の方にとってイノシシは害獣であり、駆除が勧められています。ただ、自然界の観点から見ると、イノシシは森づくりの大切な役割をになっていることにも気づきました。水脈を整えてくれたり、土圧を抜いてくれたりするそうです。このことから、鳥獣被害を減らすために、イノシシを殺すだけの対策ではなく、駆除と被害を防ぐということをしっかり考えた活動の重要さや、自然と共存していくことの大切さを感じるようになりました。
しかし現在、猟師をされている方は高齢化が進んでいる状況です。普段の狩猟活動から学んだ自然に対する知見を多くの人や、次世代にも伝えていきたいと考え、現在の活動に至っています。
ごちそうの森の中では、不定期ではありますがレストランも運営しています。猟師であるからこそ、イノシシの状態(年齢、時期、大きさなど)を把握しながら、臭くないのは当たり前で、美味しい肉をより美味しく調理してお客様に提供しています。”ジビエ料理”の枠を超えて、選んでもらえる料理を目指しています。この料理を食べることができるからこそ、関わりたいという人たちも沢山います。そんな風に、”ごちそう”目当てで森づくりに関わってもらえたり、美味しいものを食べたいから里山の環境改善に協力しよう!そう思ってもらえる人をどんどん増やしたいです。
現在、イノシシ料理のケータリングや、ワークショップの出張教室などの依頼も増えています。イノシシを通じた活動が、老若男女関わらず、里山に関わりたいと思う人を増やしてくれているのです。
まだまだ小さな活動ですが、これからもごちそうの森の活動を通じて、中山間地域の関係人口を増やしていきたいと考えています。
この場所を通じて、里山に携わる人を増やし、そのための仕事を作っていきたいと思っています。特に猟師は、猪の駆除という里山の大きな課題解決にはなくてはならない存在です。しかし今、猟師だけで生計を成り立てていくことは難しいと感じています。だから私は様々な角度から猪を使って新たな食文化をもつくっていくアプローチや、食べるだけでなく、背景や認識など広い部分を含めてお伝えしていくような工夫をしています。
ゆくゆくは現在、私が1人で行なっている猟師・ワークショップ講師・料理関係の仕事をより多くの方にもしてもらえるような仕組みを作ったり、猪だけではなく、山の資源を活用した空間コーディネーターなど、新たな職業も生み出していきたいと思っています。ごちそうの森を通じて、自然に触れながら、自分らしい里山活動のスタイルを見つけてもらえるようにしたいと考えています。
また、自然に興味を持ってもらうための施設づくりも、積極的に行っていきたいと考えています。例えば、環境に負荷をかけないような、排水を浄化する小川を作ったり、利用しやすいコンポストトイレを作ったりするなど、この場所に来ることで、人も自然の中で生きていることが意識できるような場所にしていきたいです。
ごちそうの森に多世代の方が訪れ、この場所の体験を通じて、里山のファンとなり、一緒に活動する仲間をこれからも増やしていけるようにがんばります!
団体名 | 生口島ごちそうの森 |
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代表者 | 長光祥子 |